最近、増加中の警察を装った詐欺電話の手口とセキュリティ対策

最近、お使いのスマートフォンや自宅に警察を名乗る不審な電話がかかってきたことはないでしょうか?偽の警察を装った電話による手口は近年、日本全国で発生されており、次々と騙されてお金を盗られてしまった事件が後を絶ちません。詐欺電話に使われる手口も年々巧妙化しており、警察もその対応に手を焼いているといえるでしょう。この記事では警察を装った詐欺の被害に遭わないためにも、詐欺電話の実例をいくつか紹介するとともに、自分自身で実行できるセキュリティ対策を紹介します。

警察を装った詐欺電話の増加する背景

近年、警察を名乗る詐欺電話が全国各地で多発しています。このような警察を装った詐欺電話が増加している背景には、インターネット技術の発達や、通信手段の多様化、そして様々な情報のオンライン化が関係していると考えられます。

まず、多くの犯罪者は主にフィッシングメールやSNSのメッセージ、偽の広告から偽サイトへ誘導したり、セキュリティ面が脆弱な公共のフリーWi-Fiなどを通じてデバイスにマルウェアを侵入させて個人情報などを不正に入手します。それらの個人情報を悪用して警察を装い、電話をかけてきます。

次に現在では、多くの詐欺師が国際電話番号を使用したり、着信番号表示を偽装するなりすましの手口であるスプーフィングなど偽装レベルの高度化が進み、通話元を隠すことが容易くできるようになっています。最近よくある手口としては、このスプーフィングを使って実在の警察署の番号を表示させ、ターゲットとなる人物の信憑性を高めるケースが数多く報告されています。加えて、スマートフォンでのLINEやInstagramをはじめとするSNSのメッセージやビデオ通話を通じて、警察手帳や逮捕状などの書類を画面に映し出すという視覚的演出を使って被害者を信用させる手口も増えています。

詐欺電話を使って接触してくる犯罪者の多くは、「あなたの口座が犯罪に使われている可能性がある」や「逮捕状が発行されている」、「資金を保護するために移動が必要」などとターゲットとなる被害者に告げて不安を煽り、冷静な判断を奪うような手法を使ってきます。このような心理操作は、以前から存在する詐欺の常套手段ですが、デジタル化が進む現代においては複数の通信方法によって手口がより巧妙化し、被害規模が拡大しやすくなっています。

また、インターネット技術の発達によって、個人情報や金融インフラのオンライン化も詐欺電話が増加する要因の一つといえます。近年、私達が利便性を追及していく中でクレジットカードをはじめ、ネットバンキングによる銀行間の送金、電子マネー、キャッシュレス決済などの金融インフラが次々とオンライン上に移行されています。誰でも簡単に大きな資金を移動させることが可能になったことで、多くの犯罪者がそこに目をつけて大金を奪おうと企てています。これまでの詐欺電話による主な被害者は高齢者が中心でしたが、このように金融インフラの利便性が高まったことで幅広い世代が標的となっており、被害が拡大しています。

警察を装った詐欺電話の内容とは?

実際、偽の警察官からどのような内容の詐欺電話がかかってくるのでしょうか。ここでは、典型的な詐欺電話の流れと、実際に日本国内で発生した警察を装った詐欺電話の事例をいくつか紹介します。

典型的な詐欺電話の流れ

1.告知着信番号の偽装

最近の警察を装った詐欺電話の多くは、実際に存在する警察署の電話番号を表示することで、ターゲットとなる被害者を信用させます。

2.信用構築

さらにより信用させるため、電話を別の番号へかけ直させたり、SNSなどを使ってビデオ通話へ誘導し、偽の身分証や警察手帳、逮捕状を見せてきます。

3.不安を煽る

「あなたの口座が犯罪に使われている」や「資産が危険なので移動が必要」、「逮捕状が出ている」などと不安を煽って冷静な判断ができないように仕向けてきます。

4.金銭や資産移動を要求

「資金を保護するために資金を移動してください」と謳って偽の送金先口座を提示してきます。その際、「至急」や「早急」などという単語を使って緊急性を強調し、期限を設けることで焦らせて送金を急がせます。

5.継続脅迫や追加要求

資産を送金させた後も「調査継続には追加の費用がかかる」や「念のため、他の資産も確認させてください」などと謳って恐怖や脅迫を行ない、さらなる取引や個人情報を促してくる場合があります。

実際に発生した警察を装った詐欺電話の内容

資金洗浄の容疑者になっている

2025年、愛知県警本部の代表番号を偽装して電話を仕掛けた詐欺事件が発生しました。被害者が電話に出ると「あなた名義で不正な銀行口座が開設されており、資金洗浄事件の容疑者になっている」と告げられ、SNSでのビデオ通話を通じて警察官を名乗る人物に顔写真付きの警察手帳を提示され、信用した被害者は指示された口座に250万円を振り込んでしまいました。その後、実際の愛知県警察へ電話をかけて確認したところ、詐欺だと判明しました。

事件の捜査であなたの通帳が見つかった

2025年10月、60代の女性が約3000万円の被害に遭ったことが和歌山東警察署の調べでわかりました。この事件は警察と郵便局を名乗る複数の人物から電話がかかってきて、「事件の捜査であなたの通帳が見つかった」と嘘の情報を告げられ、やりとりする中で警察手帳のような画像が送られて信用してしまいました。その後、身の潔白を証明するためと謳って指定した口座に現金を振り込むように指示され、合計3005万円を4回にわたって振り込みました。その後、金融機関から「多額の振り込みのため、詐欺被害の可能性がある」と指摘を受けて警察に被害届けを出したことで発覚しました。

あなたの口座が不正利用されているかもしれない

2025年10月、新潟県長岡市の30代男性が90万円を騙し取られる被害に遭いました。男性のスマートフォンに見に覚えのない国際電話がかかってきて、出ると総合通信局を名乗り「電話番号が悪用されている。その番号の緊急連絡先としてあなたの番号が登録されていた。あなたの名前を教えてください」と名前や住所を聞いてきました。その後、今度は大阪府警の警察官を騙る男に電話が代わり、「あなたに逮捕状が出ている」と言われてメッセージアプリでのビデオ通話を要求されたので応じると、捜索差押許可状という書類と詐欺事件の犯人の顔写真が送られてきて、「この顔に見覚えがありますか?口座を不正に利用している犯人です。あなたの口座も不正に利用されているかもしれないのでお金の流れを確認するためにまず50万円を振り込んでください」と言われ、信用してしまった男性は合計90万円を振り込みました。その後、男性が金融機関に相談すると、詐欺だということがわかりました。

あなたに逮捕状が出ている

2025年7月、名古屋の30代の女性が警察官を名乗る人物からビデオ通話で逮捕状を提示され、詐欺の被害に遭いかけました。見知らぬ電話番号からの国際電話がかかってきて出たところ、「生田警察署です。あなたがマネーロンダリングに関与したため、逮捕状が出ています。今日中に出頭してください」といわれ、事情聴取と称してビデオ通話で警察手帳と逮捕状を見せられました。逮捕状には知られるはずがない自分の名前や住所が記載されており、本当に調査が進んでいると信用してしまいました。逮捕状には難しい言葉が並べてあったこともあって被害者はパニックに陥ってしまい、銀行口座番号や残高を教えてしまいました。さらに電話を切ったら即逮捕、勾留して家宅捜索をすると脅して、恐怖心からなかなか切らせてもらえなかったようです。実際に振込むために訪れた金融機関の窓口で職員が詐欺に気づいて通報したことで被害を未然に防ぐことができましたが、このようなケースは非常に多いです。

その他のケース

自動音声や複数の団体名を使う手口

上記のような警官を装った詐欺電話には、他にも自動音声でアナウンスを使って「あなたの電話は2時間後に停止されます。調査が必要です。1を押してください」などと誘導し、その後偽のオペレーターに切り替わるパターンも報告されています。この手口は、警察だけでなく、通信会社や総務省など複数の公共の団体名を出すことで、被害者の警戒心を解こうとする特徴があります。

偽サイトへの誘導

最近の警察を装った詐欺電話は、電話だけにとどまらず、偽のウェブサイトへ誘導するパターンも見受けられます。過去には偽警官が被害者に指示して偽の警察サイトや調査サイトと偽ったフィッシングサイトへ誘導し、そこでログイン情報やクレジットカード情報を入力させるケースがありました。また、被害者のスマホやパソコンに遠隔操作ソフトやマルウェアをインストールさせ、情報を抜き取る手法も報告されています。これらの多くは警察を装った詐欺電話とともに発生する場合が多く、金銭に加えて個人情報漏洩の被害などさらなる犯罪に巻き込まれてしまう可能性があります。このような詐欺電話とサイバー攻撃を組み合わせる手法は、年々巧妙化しており、今後も被害範囲が拡大する恐れがあります。

警察を装った詐欺電話に騙されないためのセキュリティ対策

警察を装った詐欺電話を含むサイバー犯罪の被害に遭わないためには、普段からのセキュリティ対策と詐欺に遭いかけた際の対応力が鍵となります。以下では、詐欺被害に遭わないためのセキュリティ対策や詐欺電話がかかって来た際の対応について解説します。

冷静に構える姿勢を持つ

ほとんどの詐欺は、相手を不安にさせて動揺させて対応を誤らせることが狙いです。たとえ、緊急事態などといわれて即断を求められても絶対に焦らないことが大事です。まず、警察を装った不審な電話を受けた場合、電話を切ることが重要です。もし、どうしても電話が切れない場合は、本物かどうかを確かめるために相手の所属や名前、部署、内線番号を聞きましょう。冷静になってしつこいくらい問いただすことで相手が諦めて電話を切る可能性があります。加えて、電話の相手から折り返しでかける電話番号やメッセージアプリのアカウントを教えられた場合は、信用してかけ直さないようにしましょう。

公式機関に確認する

警察を装った不審な電話を受けて不安な場合、個人情報を教えたり、振り込む前に警察相談専用電話や最寄りの警察署に連絡して確認するのが確実です。調べた警察の公式の電話番号が着信した番号と同じだったとしても、むやみに着信した電話番号にリダイヤルするのではなく、必ず自分で調べた警察署の公式の電話番号に電話して確かめましょう。

個人情報や金融情報を即答しない

電話で警察を装った人物に氏名や生年月日、住所、金額、銀行情報などの個人情報を聞かれても、焦って即答しないようにすることが大事です。通常、本物の警察であってもこのような個人情報を電話で尋ねることはありません。

振込・送金を即断しない

電話を通じて振込や送金を依頼してくるほとんどの場合、詐欺です。特に「資金の保護」や「口座移動」、「調査用振替」などという単語を使って要求してくる場合は詐欺で間違いないでしょう。また、最近はネットバンキングや各金融機関の支所での振込だけでなく、電子マネーや仮想通貨など多様な形での送金を催促されるケースもあります。万が一、送金してしまったあとでも、すぐに銀行やクレジットカード会社に連絡して支払い停止を求めるなどの対処をすることで被害を最小限に抑えることができる可能性があります。

証拠を残して相談、または通報する

もし、警察を装った不審な電話がかかってきた場合は、通話記録や着信番号をスクリーンショットで保存してください。相手から警察手帳・逮捕状などが送られてきた画像や指示された銀行口座番号などとともに最寄りの警察署やサイバー犯罪相談窓口に相談・通報しましょう。これらの記録を残しておくことで、今後の更なる詐欺被害の拡大を防ぐことができます。

デバイスのセキュリティ面を強化する

最近の詐欺の手口は、詐欺電話に加えてサイバー攻撃と連携している場合が多いため、お使いのスマホやパソコンの安全性を確保することは不可欠です。以下は、デバイスのセキュリティ面を強化する方法一覧です。

  • SMSやメールで来た不審なリンクはクリックしない
  • デバイスのOSやアプリは常に最新版に更新する
  • 定期的に不要なアプリ整理する
  • デバイスへのアクセス権限管理を見直す
  • パスワードは複雑なものに設定する
  • 各オンラインサービスにログインする際は2段階認証、または多要素認証を導入する
  • インターネットを利用する際は常にVPN(仮想プライベートネットワーク)に接続する(特に公共のフリーWi-Fi利用時)
  • マカフィー+をはじめとする高性能なセキュリティ対策ソフトを導入する

まとめ

今回は、警察を装った詐欺電話が増加する背景をはじめ、実際の詐欺電話による事件例を紹介するとともに、これらの詐欺を防ぐためのセキュリティ対策について解説してきました。警察を装った詐欺電話は、被害者の不安を煽って混乱させて振込などを即断させる高度な心理戦です。近年では、電話に加えて、 メッセージアプリを使ったビデオ通話や偽サイトへ誘導してマルウェアに感染させるなどのサイバー犯罪を組み合わせることで被害規模が拡大する傾向があります。警察を装った詐欺の被害に遭わないために最も重要なことは、冷静さを保つことです。この記事で紹介した詐欺の手口や実際発生した事例を知ることで、仮に詐欺電話がかかってきた場合でも冷静な判断ができるようになるでしょう。

加えて、お使いの通信端末の安全性を確保することも詐欺を防ぐために重要なポイントです。オンラインセキュリティ業界の中でも注目されているMcAfee社が提供しているマカフィー+のような複数のセキュリティ機能を一度に利用できる高性能なセキュリティ対策ソフトを導入することがセキュリティ面を強化します。デバイスにこのセキュリティソフトを導入することで、万が一、警察を装った詐欺電話からフィッシングサイトなどに誘導された場合でもすぐに検知して警告を出します。さらにこのソフトが提供しているVPNサーバーに接続することで通信暗号化して盗聴リスクを軽減し、常時バックグラウンドで監視してくれるため、新種脅威にも対応するなどリアルタイムにデバイスを保護します。こうした機能は、警察を装った電話詐欺そのものを防ぐわけではありませんが、フィッシングサイトへの誘導やマルウェアが侵入を試みた際の最後の防壁となります。さらには、犯罪者が詐欺電話をかける際に参考とする個人情報の流出を防ぎます。この先、警察を装った詐欺電話やサイバー犯罪に巻き込まれないためにも、今回紹介したセキュリティ対策を実践してみてはいかがでしょうか。

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